新・啓農主義 

 
「作物の力を生かした輪作により、究極的には資材を全く使用しないで、しかも永続的に続けられる農法を目指す。」そんな夢のような実験が、いま月山山麓を舞台に展開されている。長年にわたり、有機無農薬を目標に作付け実験を繰り返してきた月山パイロットファームから、いま新しい農業のカタチが拓かれようとしている。

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プロフィール

有限会社 月山パイロットファーム
代表者 代表取締役 相馬 大
スタッフ 25名(常勤役員4名、従業員21名)
事業内容 畑21ha、加工場2棟
主な商品
 
馬鈴薯、人参、豆類(だだちゃ豆等)
漬物(青菜漬・赤かぶ漬等)
直 販 特定団体との産直契約になります。
見 学 案内係が在席の時に可能です。
所在地
 
〒999-7634
山形県鶴岡市三和字堂地60
連絡先 tel:0235-64-4791 fax:0235-64-2089
休 日 週休2日(隔週)

 

植物の力を信じなさい!

 「人間の体が100%食物に依存している以上、その食物が安全であることは当然です。 また農業にとっても作物の力を生かしてやることで、本来もっている滋味深い食物を作るとともに、永続的に生産を続けられなければ意味がありません。私たちはできれば植物の力だけで土づくりを進め、病害虫も防げるように月山の気候風土にあった作物を中心に輪作を行い、農薬も化学肥料も使わないでずっと農業を続けたいと考えているんです。」
 昭和52年、月山山麓に造成された処女地を舞台に大型の有機農業実践農場を目指してスタート。以来、月山パイロットファームでは一貫して有機無農薬を目標とした畑作と農産加工に取り組んでいる。21haの畑から収穫される作物と2ヵ所の加工場で作られる無添加無着色の漬物は、いずれも生協や消費者団体への直販が中心だ。消費者と直接結び合うこうした有機農法の実践により、平成3年度には山形朝日農業賞を受賞している。

輪作による低投入循環型農法

 「無農薬で畑作を続けていくには輪作しかない」と、これまで実験を繰り返してきた作物は約50品目に及ぶという。その結果、土着の伝統作物(赤かぶ、だだちゃ豆など)を中心に馬鈴薯、人参、豆類、葱、赤かぶ、青菜、民田なす、大根など、アブラナ科、ナス科、ユリ科、セリ科、豆科、イネ科の6科の作物を組合せる輪作体系を確立し、輪作に起因する病害の回避にも成功している。
 「しかし、土づくりに要する堆肥500tに対し収穫物が200tを下回る現状は、エネルギーのやりとりからみて効率が悪い。そこで、究極的には使う資材をゼロにしようと、いま取り組んでいるのが緑肥作物を含めた豆科の作物を6〜7割に増やし、これにヒマワリ(キク科)を加える低投入循環型農法なんです。少なくとも堆肥は従来の3分の1にし、微量要素は少量の米ぬかボカシで賄える仕組みを確立したいですね。豆科の作物は空中窒素を同化する能力があります。同様にヒマワリは土中のリン酸を有効化する働きがありますから、これらの力を利用することで窒素肥料とリン酸肥料を少なくし、堆肥や家畜の屎尿類を10aあたり1t程度入れてカリ分を補給すれば、従来の畑作では考えられなかったほどの少肥で、しかも持続的な循環ができるのではないかと考えています。」

人の食物に値する食物を持続的に作る

 無添加無着色の漬物類も、人の食物だからその役に立つものという原則で塩はミネラルを含む沖縄産の真塩、砂糖は奄美大島の洗双糖を使用。また遺伝子組み替え等に由来する原料は排除し、環境ホルモン対策もいまわかっている範囲ではほぼ達成済み。これからは食品の温度管理に必要な電気エネルギーも自立する方法を模索していく考えだ。
 「生産は資材を限りなくゼロに近付け、加工は添加物を使わず、エネルギーも使わないか、あるいは自前で賄い、人の食物に値する安全な食物を持続的に作れることを追求し、実証することは、食物の自給という観点からも非常に意味があると思います。ただ、技術的には目処が立っているもの、このような生産活動を継続していくためには、消費者の皆さんの一定の理解とそれを買い支える構造が欠かせません。ぜひ長い目で応援していただきたいですね。」